晴れたら公園へ

 

 

 


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ピクニックが好き。

 

少し暑いくらいの晴れた日に

友達と駅前で待ち合わせをして

コンビニやデパートなんかで

それぞれ欲しいものを仕入れ

ビニールいっぱいに抱えて公園に向かう

この道のりがまた楽しい。

 

「日焼け止めを買わなきゃ」

 

「見渡す限り美容院ばっかり」

 

「今ビール買ったらぬるくなっちゃう」

 

なんでもない話ほど楽しい。

 

車が行き交う大通りの、日陰を選びながらとことこ歩いて公園に着き、適当な木陰に薄っぺらいビニールシートをひいて寝転ぶ。

こんな幸せがあるのか!

 

目の前には青空。

シートごしの芝生がふわふわ気持ちいい。

見渡せば学生カップルや外人、小さな子供やその親達。

 

みんな思い思いの晴れの日を過ごして。

 

ふと目線を遠くにやると、広い公園の向こう側には高層ビルがにょきにょき。ああ、ここは都会だ、東京に居たんだったと再確認しつつ一瞬のバカンスを味わい尽くす。

 

コンビニおにぎりも部屋で食べるより外の風の中で食べる方が美味しく感じる。

 

ぬるくなりかけたビールの炭酸がやけに染みる、これも不思議。

誰かが隣にいるとそんなことを数倍幸せに感じる。

 

時々シートに迷い混んでくる虫もご愛嬌。

私たちの陣地に入らず、自分の居場所に帰りなさい、って葉っぱかぶせる。またはデコピンで遠くにぽーんと飛ばしてしまってちょっとごめんなさい。

 

回復期にある患者が最初に描くのは自然の絵が多い、っていうのは完全にうろ覚え。だけどずいぶん昔、医者がそんなことを言ってたような。

 

葉や木が揺れるのは、誰の手も加えられてない自然な風景。無意識に癒される。

 

たとえば少し切ない話をしても、ピクニックでは目に見えるものに一切の重みがないから心理的に楽に感じる。

 

同じように考えると、夏も好きだ。全部「暑い」が持っていってくれる。

 

そのうち時間が過ぎて、公園に蛍の光が流れはじめ、人の流れが出口へ向かいはじめる。

 

もう少し居たいな、くらいが丁度いい。

 

たっぷりの風や少しのビール、楽しい会話で体の中がいっぱいふくれて「息抜きした」って都会の真ん中で楽しむ休みの日が大好き。

 

感傷的になるのは暇だからだ。

なので、そんな「暇」を充電に費やすため、私はピクニックへ。

 

 

次はいつかな、ビール抱えて。全てサボって。

 

 

 

日記

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10月に入り一気に冷え込んできた。朝晩だけだったのが昼も涼しくなり、いつの間にか底冷えするようになった。

 

半袖短パンというラフな格好でベランダに出て酒を片手にタバコを飲むのが習慣だったが、最近は寒いからブランケットにくるまって外に出なければならなくなった。

 

体調も思わしくないような気がする。パブロンや葛根湯が必要になるとだるいから半身浴で体を温めてごまかそう。

 

寒さが原因かどうかは知らないが、仕事に精が出ない。こんな日もあると言いながら切り上げて帰る日が1週間近く続いた。皆残って何に取り組んでいるんだろう。

 

思えば学生の頃は冬が好きだった。もうすぐ年の瀬だと思うとやる気が出てきた。何のやる気かはわからないが、もう少しで年が終わると思うと妙な充実感があった。今は違う。1年の過ぎるのがどんどん早くなっている。妙に歳をとった感覚になる。私より歳上のにんげんなんて数えきれないほどいるのに。こんなんだけど11月で25歳になってしまう。秋に生まれたから秋は憎めない。

 

 

彼と出会ったのは23歳の時だったから、24歳の時期をまるまる一緒に過ごしたことになる。一度しか来ない24歳。何をしたかと聞かれたら、転職と引越しだと答える。彼のことはあえて出さない。私の一部ではある。欠けてはいけないけど、あくまで70歳くらいまでの人生分のちょっとの期間を少しだけ伴走しているのかなって思う。

 

ただ出会ったときから彼は彼以外ではいけなかったように思う。1人で飛び込んだワインバーで出会ったとき、DVで凝り固まっていた気持ちが急激に緩んだのは事実だし、その後桜の名所の話をされた時に、ここには1人で行くのがおすすめだよって言われて、男女の駆け引きとか何も考えなくていいんだと癒されたのも事実。後日それはおれのテクニックだったと言われた時は舌打ちしたい気分になったけど。

 

土曜の真っ昼間からベランダでビールを飲んで、色んな出来事を反芻する。思い出は冷えた体を温かく包んでくれたり、冷たく突き放したりする。

その全てを受け入れながら目の前の雨を眺める。この瞬間さえ明日にはなくなる。1人として同じ自分はいないとさえ思う。こうやって感傷的なるのは、暇だからだ。

 

 

身の程知らずかも

 

 

つくばでの取材が終わり、帰路。

 

今日も疲れたなー、どこで飲もうかな、何食べようかな、家でゆっくりしようかな、

 

とか考えてたらいつの間にかいつもの地元のバーの扉を開けてました。

 

なにする?

ハイネケン

はいよー。

 

 

俺も迎え酒しちゃおう、とマスター。

昨日そんなに飲んだんですか?と私。

飲んだね、日本酒を。とマスター。

日本酒しばりですか?

うん、そうだね。

熱燗の季節ですね。

 

酒場でのぶつ切りの会話はぶつ切りにならない。

 

酒は酒呑みの共通の言語。

 

 

 

そういえばさ

 

このあいだの土曜日いっぱい飲んでたけど大丈夫だった?とマスター。

 

家に帰ってからもしこたま飲んじゃいました。

 

酒が欲しいってなってたもんね。とマスター。

 

 

他愛もない会話に、酒に、タバコに。

 

ついつい手が伸びて、ついつい飲んじゃう。

 

昨日も、ついつい食べちゃいますねって言ったら笑われたなぁ。と思い出すのは、彼氏のご両親。

 

結婚する気なんてお互いないのに、もう会ってる両親。

 

 

酒場で隣になった女性は「我慢はしちゃいけないよ」って言ってた。11年の結婚の末離婚したそうだ。

 

「女性は我慢できますもんね」と返しながら、我慢が限界にきた時の自分がふと蘇る。

 

同棲なんて結婚するまでしない方がいいよ。

 

男は我慢できないけど、女は我慢できちゃうの。

 

お風呂一緒に入るなんて、自分の時間がないよね。って気があった。

将来の自分を見た気がした。

 

 

その後女性は帰って(明日は5時に起きるそう)

その後には大阪弁の男性。

 

「マスター、ドラクエクリアしたよ」と言いながら店に入ってきた。

 

あのボス倒した?頭が割れて違うキャラが出てくるやつ。ってマスター。

 

それ僕見てません。クリアできてなかったのかな、と男性。

 

彼も関西出身だよ、とマスター。

 

え、そうなんですか?と私。

 

灘ですよ。とマスター。

 

じゃあ近いですね。灘からのここらへんで東大ってコース?

 

はい、獣医学をしてます。

 

犬とかペット飼ってました?

 

飼ってました。

 

感情移入しないですか?

 

少し感じるけど、他所は他所、ウチはウチで。

治らない病気はないから、それならせめて余生は楽しくしたいですよね。2ヶ月生きるところを3ヶ月伸ばしても、保険もないですから。

 

 

そうだよねー。せめて楽しい方がいいよね。とマスター。

 

僕は食肉とか家畜系ですけどね。

 

 

じゃあ研究?

 

 

はい、でも僕は医学の方へ。

 

 

 

 

 

なんてことのない会話。結婚からのドラクエからの獣医学。

 

ほんの1時間の間に、色んな色を持った人が来ては酒を飲み帰る。

 

 

 

 

 

知り合いにスタンダードプードルをたくさん飼ってる人がいて。と私。

 

このへんですか?通りぞいでよく連れて散歩してる人を見ますよ。

 

 

それ、じゃあ、知り合いです、たぶん。3匹くらい連れてるの。

 

あぁ、でっかい家に住んでるんやろなと思います。と男性。

 

油断も隙もない。

 

犬も歩けば棒に当たる。

人も飲めば知り合いとつながる。

彼の言ったスタンダードプードルの飼い主は今その辺をランニングしているってことを、私は知っている。

 

関西を出て東大で獣医学を学ぶ学生が日常よく見ていた男は、飲み屋でたまたま隣になった女の男だった、ってこと東京だからこそじゃないかしらと思う。

 

地方から様々な理由を抱えて上京して、日々葛藤しながら生きて夜どこかに癒しを求めるのは、地元ではあまりないこと。

 

 

予備情報のない知り合い。地元が同じだけで酒が旨くなる現象。

 

バーの店主になりたいな、と思う。

 身の程知らず?

でも色んな人の抱える色を見て生きるのって楽しい。